エドナ・ファーバーの原作をO・ハマースタイン2世が台本化と作詞をし、J・カーンが曲をつけたミュージカルの、29年版に続く二度目の映画化作品。前作や舞台と同様、H・モーガンが当たり役の混血娘のジュリーを演じている。素晴らしいブルース“Can't Help Lovin' That Man”も歌ってくれる。やはり舞台で黒人召使い役を演じ、圧倒的なボリュームの低音で世界中の評判をとったP・ロブソンの“O'...l Man River”は本作の白眉で、比類なき名唱だと思う。ヒロインのI・ダンも再演版持ち越しのキャスト。ミシシッピ川をゆく劇場船上に、二つのロマンスを交錯させて描く。この大河メロドラマを、ホラー映画の第一人者J・ホエールが、確固たる人間的視点を以て、斬新な映像スタイルで描く。“20世紀伝説の黒人スター”と呼ばれたロブソンが、作品の中にしっかりと仁王立ちしている。30年代のこの頃の方が、'50年代初頭の三作目製作時より、ずっとリベラルだったのだ。