“What's Love Got to Do with It”で見事にスターダムに復帰した元アイク&ティナ・ターナーの、ティナの波乱に満ちた半生記。テネシーの片田舎で親戚に預けられ育ったティナは父なし子。ようやく母と妹と暮らせるようになったが、生活は貧しかった。やがて旅回りのR&Bバンドに魅了され、都会へ出た彼女は人気バンドのリーダー、アイク(L・フィッシュバーン)と結ばれる。彼のギターと彼女の唄...で大いに売り出したコンビは、ロック・ミュージシャンに支持され、国際的にも成功を収めるが、70年代に入って人気は下落。そもそも暴力的傾向の強かったアイクは酒に溺れ、日夜、彼女を傷つける。息子たちにまで被害の及ぶのを恐れたティナはまさに逃げるように彼の下を去り、しばらく芸能界との接触を断つが、’83年に呼び戻され先の大ヒットを放つ。不遇の日々の中で、彼女が見いだした光明は仏教だったというのは有名な話だが、線香を立て無心にお題目を唱えるシーンは少し面映ゆい。主演のA・バセットは、ティナのような筋肉質の身体に肉体改造までして挑んだ迫真の演技で、オスカー候補となった。