香港からサンフランシスコに密入国した元北京大学教授のリー博士と娘メイ(ミヨシ梅木)は、見合いの相手であるサミー・フォンを、彼が経営するクラブ“天の園”に訪ねるがけんもほろろに、名士ワン御大の家に押しつけられる。御大は息子ター(ジェームズ繁田)の嫁を探しており、慎み深い中国女性の典型のメイをいたく気に入る。ターは大学生で、すっかり米国ナイズされた弟に引きかえ、まだ中華的メンタリティを持ち合わせており...、サミーのクラブで唄うリンダ(N・クワン)とつきあっていたが、彼女は心の底ではサミーとの結婚を望んでいた。ターを慕うお針子のヘレンは優しい気性で、女性にもてる彼をただ見守る他なかった。御大の義妹リャン夫人は市民権講座を、ターは大学を卒業。同時にリンダとの仲も進展し結婚話も出て、サミーの計略で彼女が歌手であることがみなにバレても、ヘレンのことを気遣ったメイが当初の予定通りサミーとの結婚を決意した以上、ターとリンダとの婚姻を進めるだけだった……。ロジャース&ハマースタインのエスニック色濃厚な、純東洋キャストのミュージカルの映画化で、おっとりした梅木の芝居に象徴されるような和やかな雰囲気と、ジャズやR&Rと中華風旋律の“チャプスイ”感覚が、とっくに西洋化した音感と文化感を持つ身には何とも好ましい。ナンバーでよいのは、リンダがネグリジェ姿で三面鏡を見ながら唄う“I Enjoy Being A Girl”。ヘレンがターと霧の波止場で踊る幻想シークエンスや、サミーとリンダらがTVから飛び出した白黒のインディアンとガンマンと“追っかけ”する、やはり夢のシーンも面白く、サミーがメイに自分の欠陥をあげつらって唄う“Don't Many Me”は小粋だった。