経営危機のサナトリウムのオーナー、M・オサリヴァンを雇われ運転手のチコが励ます。彼らが頼みとするのは唯一の顧客の富豪夫人。彼女ご執心のフロリダの獣医(なのに夫人は彼の治療を受け全快したと言う)グルーチョを招いて、施設の看板にしようとする。腹黒いマネージャーに経歴を疑われた彼は、出鱈目な治療法をさも効果適面のように語ってケムに巻く。馬好きの彼は隙を盗んでは競馬場通い。それはチコも変わらずで、二人、騎...手をクビになったハーポと仲良くなって、自分の持ち馬で一発当てようというオサリヴァンの恋人の売れない歌手に協力し、サナトリウム乗っ取りを企む悪党たちの奸計を阻む。S・ウッドの演出は全体に締まりがないが、部分部分、大変秀れており、特に、主題歌“Tomorrow Is Another Day”から展開する黒人たちの唄と踊りのミュージカル・シークエンスが圧巻である(ギャングの目を逃れて厩舎に忍んだ三兄弟が顔を黒塗りにして群舞に紛れる。ピッコロを吹くハーポ先導で、まるで「ハメルンの笛吹き」といった賑やかさはラストでも再現される)。クライマックスは、歌手の馬が実は障害走向けだったことが分かってのレース場面。ギャングにさらわれた馬を連れ戻してエントリーさせるための遅延行為ギャグも少しくどいが大いに笑わせ、オチもなかなか奮っていた。