シェークスピア劇の演出や映画化で活躍するK・ブラナーが、ハリウッドを離れて英国に戻り、監督に専念した作品。デンマークの〈憂鬱〉な王子『ハムレット』を演じる、〈憂鬱〉を抱えた役者たちの舞台裏を、ハートフルなコメディとして描く。仕事にあぶれた役者が、エージェントから援助してもらった僅かばかりの金で、クリスマスに片田舎で演じる『ハムレット』の出演者を募集した。年末で、しかも悪条件の公演に集まったのは、憂...鬱な問題を抱えた言わば三文役者ばかり……。寄せ集めで出来損ないみたいな人間たちが、公演を成功させようという一つの目的のために、次第に打ち解け合い頑張る様子が、『WHY MUST THE SHOW GO ON』の曲にのって、演劇的に各段に区切られて進行していく。ブラナー作品としては、オリジナル脚本の群像劇喜劇で「ピーターズ・フレンズ」の系列にあたり、憎めない登場キャラクーとセンチメンタルでユーモラスな物語は、好感が持てる。ブラナーはこの作品の雰囲気作りと芝居へのノスタルジーから、敢えて白黒画面で撮っている。原題は、英国でクリスマスに唄われる聖歌のタイトルから。ヴェネツィア国際映画祭で、金のオゼッラ賞を受賞。