ジャン・ルノワールもハリウッド時代に、ポーレット・ゴダード主演で映画化(“THE DIARY OF A CHAMBERMAID”後に「ジャン・ルノワールの小間使の日記」としてWOWOWで放映)したミルボーの後期自然主義の小説を、ブニュエルにしては原作からあまり離れずに映画化。J・モローを主演にすることで、スキャンダラスな雰囲気が出ている。パリからノルマンディの片田舎の貴族に奉公に来たセレスティーユ...を取り巻く、色情狂の夫人、靴フェチの隠居の家族、粗野で薄気味悪い下男などの、奇矯な人物像が面白い。その閉鎖的環境で起きた、少女暴行殺人事件を契機に、彼女の内面で何かが変わっていく。疑わしいのは下男のジョゼフなのだが……。ブニュエルが、製作のシルベルマン、脚本のカリエールと初めて組んだことでも記念すべき作品。以後、この黄金トリオは数々の傑作、問題作をモノにしていくことになる。